2015年8月12日発売のちはやふる28巻感想です。
ずいぶん前に読了していたのですが、感想を上げるのに時間がかかってしまいました。いつのまにか実写映画が公開される時期になっていて驚き…。
ということでさっそく28巻のあらすじと感想をまとめていきたいと思います。
※本文にはネタバレも含まれるのでご注意ください。
ちはやふる 28巻 感想 仲間と戦う最後の夏
第144首:最後の一年をみんなと戦いたい
26・7巻では太一の退部、そして千早の休部と波乱の展開が描かれていました。
太一がどんな状況なのかも気になる28巻…さっそく読み進めようとページをめくると、そこには窓際で笑う太一の姿…
引用元:(C)末次由紀/講談社
ちはやふる(28) (BE LOVE KC)
いつの日かの部室の一幕でしょうか? せつない!せつないですよこの笑顔…
27巻でかるた部を退部してしまった太一の笑顔が切ない、早く帰ってきておくれ太一!
28巻は千早が白波会でかるたをするところから始まります。27巻の最後に送られてきた新のメールに刺激され白波会に行ったのでしょうかね。
休部して勉強に力を入れていた千早、ひさしぶり触れるかるたの札は重く、対戦相手の原田先生に圧倒されてしまう。
白波会からの帰り道、取れなくなってしまっていたかるたと向き合って唇をかみしめながら涙を流す千早の姿が印象的でした。
それからも勉強と向き合おうとする千早でしたが、やっぱりかるた部のことも気になる。
部室を覗いてみると、感想戦(試合の後に相手にアドバイスをする)をしている部員の姿が。
少し前まで部長の太一とエースの千早を失ったり新入生の加入でギスギスしていたかるた部。
それをなんとか立て直し、3年生にとっては最後の大会に向けて練習に全力を注いでいる。みんなの姿に目を奪われる千早。
そして気が付くと千早の隣には、古文のおじいちゃん先生の姿(いつもタイミング良い(笑))。千早はおじいちゃん先生に勉強に集中していたのはかるたから逃げるためだったと言います。
そして次の千早のセリフ
「勉強すればするほど 言葉は 文字は こんなにはいらないなぁって……」
ここで千早が覚醒というか復活なのかな?
かるたと向きあうため、全国大会の予選会場に乗り込むことに。当然、瑞沢かるた部のみんなも会場にやってきて感動のシーン! かと思いきや…
かなちゃんの口から参加者校の増加によりルールが大幅に変わったことを伝えられ、千早は”十将”(瑞沢かるた部の補欠の補欠みたいな存在)でしか参加できなくなる。
こればっかりは休部していたのが悪い!
しぶしぶメンバーの最後尾につく千早でしたが、みんなの背中を一番後ろから眺めていると、黙って涙を流しているかなちゃんや嬉しそうにしている机君の表情などが見え、思わず息をのむ。
みんなにどれだけ心配かけたかようやく気が付いたのでしょうか。
そして改めて“最後の1年をみんなと戦いたい”という想いを感じたところで、いよいよ全国高等学校かる選手権東京都予選 開会!
もう一度団結して頑張れ〜!
第145首:私がエース!!
エースである千早が部に帰ってきたことを素直に喜ぶ2年のすみれちゃんとは対照的に、1年エースの田丸妹はそうでもなさそう…ライバル視しまくり。
ここで気になるのが対戦のオーダー表。チーム戦なので1試合に参加できる人数は5人。
当然のようにエースである千早をオーダーに入れようとするすみれちゃんでしたが、かなちゃんは「今回の予選は千早の出場は考えていない」と、きっぱり否定。
そんなやりとりを通して、千早は自分がいなかった間に部の雰囲気が変わっていると戸惑うと共に、時間短縮のために大幅に変更されてしまった試合のルールにも動揺を隠せない。
瑞沢高校かるた部は、太一の退部、千早の休部と一気にエースとリーダーを失い、残されたメンバーでどうにか乗り切ってきたのでチームの雰囲気が変わるのは仕方のないことです。
それに加えて今回の予選は、もともとの実力だけでなく新しいルールにどれだけ対応できたかというところも勝利のポイントとなります。
そのため実力もありルール変更に伴う練習も重ねていた田丸妹がエース的な役割で活躍するのですが・・・
やっぱりウザい(笑)
初戦勝利したことで『エースは私だ!』と調子に乗る田丸妹でしたが、とうとう瑞沢かるた部の仲間(1年生)からもウザいと指摘され、
さらには中学まで同じかるた会に所属していた男子と対戦することになってしまい、ガタガタと調子が崩れていきます。
引用元:(C)末次由紀/講談社
ちはやふる(28) (BE LOVE KC)
今まで家族にも師匠にも褒めてもらえないことが多かったせいで、自分で褒められるように自慢してしまったり…
基本的に“かるたが強い”ということ以外に自信が持てない子なんですよね田丸妹って。
それでもって、気持ちが負けてしまうとすぐに逃げだそうとする…。可哀想だけど今のままでは全然エースの器じゃない。
結局、田丸妹は試合に負けてしまい…調子が悪いと言って次の試合で千早と交代しようとします。
待ってましたと言わんばかりの勢いで闘志を燃やし始めた千早でしたが思わぬ横やりが…、
「いや、最終戦も田丸でいく」
そういって田丸妹の背中を強く押したのは肉まん君! 一体どういうことや!ってところで次の章へ。
第146首:変わらないものなんてない
読みのタイミングに合わせる点、決まり字が複雑なときの対応など、この試合形式で一番 札を拾うことができるのは田丸妹であることを主張し、続投させようと他のメンバーを説得する肉まん君。
「田丸はやれるよ」という予想外の肉まん君の言葉に一番 ドキッとしていたのは田丸妹!
まさかこの二人に恋の予感…? なんて一瞬 思いましたがパンを食べたままの肉まん君で笑ってしまってすみません(笑)
引用元:(C)末次由紀/講談社
ちはやふる(28) (BE LOVE KC)
そんな肉まん君の言葉もあって田丸妹は続投、そして千早は控えのまま次の試合へ。
この試合を通して、田丸妹は”西田先輩(肉まん君)は認めてくれている・受け入れてくれている”ということを実感して調子を取り戻すことができます。
誰かに認められるって大変だけれど人間にとって大事なことよね、ほんと。
一方、田丸妹をフォローした肉まん君は千早の休部期間などを通して人知れず(といったら失礼かもしれませんが人知れず…(笑))自分がどう変わればいいのか考えていたみたいです。
そういえば最近、肉まん君以外のメンバーには変化がよく見られましたよね。千早が勉強に集中したり、かなちゃんと机君がいい感じの雰囲気になってお互い成長していたり…。
そんな姿を見て“変わらないものなんかない”と自覚した肉まん君。だとすれば、自分はどう変わればいいのか…強くなるしかない!
主将は俺だ、強くなるしかない! と言い切って試合に勝利する肉まん君先輩まじかっけー!
肉まん君の1勝で勢いづいた瑞沢かるた部は他のメンバーも何とか勝利して1次予選突破決定!
みんながそれぞれ少しずつ変わっていく。そんな瑞沢かるた部の試合を見守ることしかできなかった千早。
予選が終わった後、涙を流しながら「かるたがしたい」と他のメンバーに頭を下げます。これで千早が本格的にかるた部に復帰。
ここのセリフで某スポーツ漫画の名言「○○先生、バスケがしたいです」が頭によぎった不届き者は私です(笑)
第147首:真島太一の抜けた穴
決勝リーグに残ったのは瑞沢、北央、富原、朋鳴高校の4校。決勝リーグではいよいよスタメン! ということで意気込んでいた千早でしたが会場で北央OBでドSの須藤さんに遭遇。
瑞沢のチームワークがガタガタであることを指摘されてしまう。ったく須藤さんどこにでも現れるし、暇かよ(笑)
「チームワークはガタガタでも今年はいい1年だったよ!強いよ!」言い返す千早でしたが、そんな千早に須藤が返した言葉は…
「真島の抜けた穴が埋まるくらい? あいつの穴なんてたいしたもんじゃなかった?」
やめてくれ~! 試合前に太一の話題だすなんて卑怯だぞ!! 相変わらず痛いところを突いてくるやつですが気持ちを入れ替えて決勝1試合目へ。
対戦校は白波会の坪口さんが顧問を務める朋鳴高校。
試合が始まりあっという間に1勝する千早でしたがチームはなかなか勢いがつかず…逆に”千早をマークしない”つまり”1敗覚悟”という作戦に出た朋鳴に流れを持って行かれます。
1勝して余裕があるはずなのになかなか流れに乗れない瑞沢かるた部。ここにきて無視できなくなってしまった「真島の抜けた穴」 さぁ、一体どうする?というとこれで次の章。
第148首:私はクイーンになる
太一が抜けたことによってあからさまに試合運びが悪くなっていたことに気が付く瑞沢かるた部。
千早があっという間に勝つスタイルはいつも通りなのに、今日はなぜか流れに乗れないうまくいかない。
机君と肉まん君の頭に浮かんだのは、声掛けをして自分自身の強さでチームを引っ張っていた太一の姿。
たしかにチームをまとめていたのは太一だったよね、お願い早く帰ってきて~!
太一がいない以上、頑張るのは自分しかいないと声掛けに奮闘する机君でしたがうまくいかず。
ここからは朋鳴高校にスポットがあたり、青春描けて勝ちにきている姿勢が描かれます。ちはやふるって対戦校もちゃんと理由を持って戦っているからいいですよね!
そして朋鳴連取。瑞沢にとっては最悪流れ…
結局 瑞沢2勝 対 朋鳴3勝で瑞沢かるた部は1戦目を落としてしまう。重い空気に包まれるかるた部…ここで一気に空気を換えたのはやっぱり千早。
「太一はかるた部をやめたけど私はいつか帰ってくると思ってる。何年後か 何十年後か 私はそれまでにクイーンになる。そしてそれまでに瑞沢を北央学園みたいなかるた強豪校にする」
瑞沢かるた部は去年 全国大会を優勝したことで一番最初の目標は達成していたんですよね。
だからみんな”どうしよう”って思っていたところに、千早がガツンとこの言葉を投げるわけです。
さてさて早くも決勝リーグ1敗してしまった瑞沢かるた部ですが、この千早のセリフで次の試合がどうなってくるのか…というところで28巻はおしまい! はい、次を早く読みましょう!
超個人的感想
28巻の裏表紙は、かるたを手に持った太一・千早・新の三人の姿でしたね。ひさびさに三人並んだ姿をみた気がします。
引用元:(C)末次由紀/講談社
ちはやふる(28) (BE LOVE KC)
それぞれが手に持っている一首に注目。千早と新は以下の一首の下の句を持っています。つまり自身の名前に関係する一首ですね。
そして最後に太一の持っている下の句は「まつとし聞かば 今帰り来む」。
つまり「たち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む」の下の句ですね。
この首の意味が今の太一にぴったりの内容だったので現代語訳を引用で紹介します。
別れを惜しむ歌ですが、一方でいなくなった人や動物が戻ってくるように願う、おまじないの歌でもあります。
現代語訳:お別れして、因幡の国へ行く私ですが、因幡の稲羽山の峰に生えている松の木のように、私の帰りを待つと聞いたなら、すぐに戻ってまいりましょう。引用元:【百人一首講座】立ち別れいなばの山の峰に生ふる まつとしきかば今かへり来む─中納言行平 京都せんべい おかき専門店【長岡京小倉山荘】
この歌は別れた人や動物が戻って来るようにと願掛けをするときに使われる有名な歌なんだそうです。
そしてこの歌の下の句を持っているのが、かるた部を退部した太一ってところに感じるものがありますね…。
あのタイミングの太一の退部は必要な別れだったんですよね、きっと。
本編でも触れられていますが、太一は強くなって戻ってくるはず。
最後のページに試合を見に来ている太一ママの姿や、ヒョロ君が太一にメールを送っている描写があったので次の巻こそは、太一が戻ってきてくれるのではないかと! この歌のおまじないの効果に期待です!
ちはやふるの感想はこちら
以上、ちはやふる 28巻「仲間と戦う最後の夏。みんなともう一度戦わせてください。」感想でした。
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